〜講演概要〜
 化学プラントで起きた重大事故は、いずれも設備改造・更新と製造条件等の変更管理に起因しており、 その際の安全性評価が十分であったとはいえない。 リスクアセスメント(RA)の課題として3点が指摘できる。
一つ目は、RAを行なう人材の重要性である。 製造現場から熟年技能者が退職し若年層主体の年齢構成に移行している。
二つ目は、設備の老朽化による設備更新・改造の時期にきているが、 設計の基本思想や条件設定の根拠が継承されていない。
三つ目は、どこまで安全を求めるかである。
RAを実施してもリスクはゼロになるわけではなく、どこまでのリスクを許容するかが経営者の重要な判断になる。 定修工事や点検・修理工事等、リスクレベルV、Wであっても実施しなければならない業務もある。 日本の製造業の生き残りを考えると、リスク低減のためにどこまでも経営資源を投入することはできないし、 技術的対策が難しい場合もある。 これらの課題にどのように対処していくかを事例に基づいて考えてみたい。