総合安全懇話会(過去開催一覧)

第311回 セキュリティとセーフティのリスクベースマネジメント

名古屋工業大学名誉教授 橋本 芳宏 先生
                (2024年9月6日)
 国家の軍事組織以外にも、 高度なサイバー攻撃の能力を有する経済的な収益を求める プロ集団が多く存在する。 収益を得るには、傭兵になる、ランサムウェアで身代金を得る以外にも 株価の変動をしかけて、収益をえるという手段なども考えられる。 足がつきにくくて、インパクトが大きい標的が選択されるという点では、 日本企業のプラントの安全が標的になっても不思議はない。 プロセス安全をサイバー攻撃から守るリスクベースアプローチをいっしょに議論したい。

第310回 戦略的プロセス安全マネジメントフレームワーク

横浜国立大学 田邊 雅幸 先生
                (2024年7月5日)
 プロセス安全管理(PSM: Process Safety Management)は、 組織マネジメントと設備リスクをリスクアセスメントで把握し 操業に展開する技術マネジメントの両面が求められる難易度の高いものである。 この PSMを構築する際、日本では米国CCPSのRBPS20エレメントというフレームワークが有名だが、 国際的には様々なPSMのフレームワークが存在している。 日本の事業所組織にあった効果のあるPSM導入をするために重要な考慮点を 戦略的プロセス安全マネジメントフ レームワークとして紹介された。

第309回 ヒューマンファクターの取り組みをマネジメントする

早稲田大学理工学術院 創造理工学部
  経営システム工学科 人間生活工学研究室
  小松原 明哲 先生
                (2024年5月10日)
 最近、ヒューマンファクターに起因する事故が減らない。 むしろ微増傾向にあるとの悩みを聞くことが増えてきた。 今までの安全への取り組みと組織内外の状態とにミスマッチが生じているのかもしれない。 人手不足によるヒューマンエラーがその最たる例であろう。 従前通りの対策も新しい対策も、いずれも無計画では効果がない。 ヒューマンファクターの取り組みのマネジメントについて、 改めて具体的に整理してみたい。

第308回 静電気放電による可燃性粉体の爆発・火災とその防止対策

労働安全衛生研究所 安全研究領域長
  崔 光石 先生
                (2024年3月8日)
 静電気に起因する災害、特に粉じん爆発防止の一助として、本セミナーでは まず、静電気災害統計、静電気を原因とする粉じん爆発事故事例、産業現場で発生する 静電気帯電・放電、静電気に起因する粉じん爆発の防止 (可燃性粉体の静電気物性 評価・産業現場に おける静電気危険性評価) について順を追って説明する。

第307回 ブラジル鉄鋼業における安全マネジメントについて

日鉄エンジニアリング(株)監査役
  木村 晃平 先生
                (2024年1月19日)
 ウジミナス社における経験をもとに、その特徴と気づきを紹介された。
・自己紹介
・ウジミナス社について
・ブラジル社会の文化的特徴について
・ブラジルの労働法(労働慣行)の特徴
・ウジミナスのリスクマネジメント(内部統制)の紹介
・安全マネジメント活動の紹介
・ウジミナス社の労働安全の実態(過去事例)
・日本の鉄鋼業の比較においての気づきと特徴

第306回 流れによる振動現象

横浜国立大学工学研究院教授
  松井 純 先生
                (2023年11月10日)
 空気や水の流れは私たちの周囲によく見られるが、 時にはその流れによって振動が生じることがある。 この振動は無視できることも多いが、もし何かと共振した場合には非常に大きなトラブルや事故につながることもある。 今回は、カルマン渦、旋回失速、ポンプのサージング、キャビテーション、排水機場での渦など、 流体を扱う機械において流れによる振動が問題となる事例とその理由および対策などを紹介された。

第305回 自動車の安全設計について

 元日産自動車株式会社、東京理科大学非常勤講師)
  千葉 晃司 先生
                (2023年9月8日)
1.はじめに 自動車の安全性向上の方策など
2.衝突安全 衝突の原理、力学、歩行者保護など
3.予防安全システム 危険を事前に検知して未然に防ぐシステム
4.まとめ
 衝突安全性、予防安全技術の向上により、交通事故死者数を削減してきた。
 今後、死者数ゼロを目指して 更なる技術開発を継続する。

第304回 製品寿命と腐食・防食

 北海道大学客員教授
   藤田 栄 先生
                (2023年7月7日)
 自動車、家電、建築物は、人間の日常生活に密着した構造物である。 これらは、使用環境下で各種の環境および力学的負荷を受けて劣化し、 それぞれ固有の寿命でその一生を終える。 ここでは、寿命の定義を議論し、これらの構造を構成する材料の腐食劣化と それらを再現する評価試験法の適正化について紹介し、 併せて、今後の構造材料の寿命に合わせた材料設計法の展望について紹介された。

第303回 高圧水素ガス設備等と利用可能な材料

 高圧ガス保安協会 総合研究所
  竹花 立美 先生
                (2023年5月12日)
 多くの金属材料は高圧水素ガス雰囲気で劣化することが知られている。 安全な水素社会を築くためには、適切な材料の選定が必要となる。 現在の基準は、高圧水素雰囲気において劣化し難い材料を使用している。 これは材料が劣化する場合には、設備等の設計方法、検査方法を全て作り直さなければならないが、 材料が劣化しなければ現行の技術基準を参考にすることが出来るという考えに基づいている。 我が国の本格的な高圧水素雰囲気における材料研究は2003年ごろから開始された。 高圧ガスの自主保安の観点からの材料評価の移り変わり等について紹介された。

第302回 化学コンビナートのPSM(Process Safety Management)における
      サイバーセキュリティーの重要性

 工学院大学名誉教授
   木村 雄二 先生
                (2023年3月3日)
 近年化学コンビナートにおいてスマート保安の必要性が叫ばれる中で, 特に最近の課題としてクローズアップされつつあるサイバーセキュリティーへの対応の現状と課題について紹介された。

第301回 石油・化学分野業以外の産業における事故事例から考えるプロセス安全

 東京大学名誉教授
   新井 充 先生
                (2023年1月13日)
 プロセス安全の考え方は、石油・化学産業分野においてのみ役立つものと思われがちであるが、 実際に石油・化学産業以外の産業分野における事故であっても、 ハザ ードとリスクの管理を怠っていたことがその発生要因となったものが散見される。 ここでは、そのような事故事例を紹介するとともに、そこから得られる教訓等につ いても、 プロセス安全の立場から紹介された。

第300回 リーマンショックとは何だったのか ― 危機の背景と金融安定化への道

 横浜国立大学名誉教授
   上川 孝夫 先生
                (2022年11月18日)
 2008年9月、米国の大手投資銀行であるリーマン・ブラザースが破綻した。 この「リーマンショック」から来年で早15年目を迎える。 危機の震源地は米国の住宅金融市場であったが、そこでは住宅ローンをもとに 大量の証券化商品が作られ、世界中の投資家に販売されていた。 証券化商品は「安全資産」と見られていたが、結局危機の引き金になった。 講演では、米国の住宅金融市場の実態、リーマンショックの概要、 さらに危機後の国際的な金融安定化策について紹介された。

第299回  「安全の鍵」、実行と実効を支えるリーダーシップと
        マネージメントについて

 鹿島石油株式会社代表取締役社長
 安全工学会会長   武藤 潤 先生
                (2022年9月16日)
 社会はリスクに溢れていて、今後も減少することは無い。 リスクは事故では無いのだ から、悲観するものではない。 新たに認識した許容できないリスクに適切に対応すれ ば、 事故の防止は可能で、産業や社会の安全・安心の向上につながる。 効果的な安全活動(行動)の継続的な実行によってのみ、結果として事故を減少させることが出来る。 安全活動の実行と実効について、リーダーシップとマネージメントの視点から、議論をすすめたい。

第298回  石油化学・石油精製プラントの  保安管理のためのリスクアセスメント  における問題点とその解決法

 九州大学名誉教授    松山 久義 先生
                (2022年7月15日)
 石油化学・石油精製の保安管理のために行われるリスクアセスメントは, 供用状態にある対象プラントの保安上の弱点を探索するために行われる。 そこでは,対象プラントで発生する可能性のある事故のリスクが許容できるレベルであることを示すために, その事故の引金になり得る全ての初期事象からその事故に至るパス上において, 初期事象の発生頻度が極めて小さいか, 防御層の失敗確率が極めて小さいことを示さなければならない。 そのため,対象プラントでは発生したことがない初期事象の発生頻度の数値, 失敗したことがない防御層の失敗確率の数値か必要になるという難問に遭遇する。
 一方,AIChE/CCPSは,プラントの機能設計が終了した段階で, 機能設計の保安上の弱点を探索するために行うリスクアセスメントに用いるために, LOPAによって求めた初期事象の発生頻度および防御層の失敗確率の数値を提供している。 現状では,多くの事業所が,苦し紛れに,この数値を保安管理のためのリスクアセスメントに用いるという誤りを犯している。 講演では,これが誤りであることを説明し,難問に対する正しい解決法を示された。

第297回  安全向上のためのAI活用

 横浜国立大学 准教授      杉本 千佳 先生
                (2022年5月13日)
 近年AIは急速に進歩し、日常生活やビジネス社会に浸透してきている。 IoTの普及により膨大な量のデータが蓄積される中で、安全向上のために、 従来用いられている物理モデリングやAIだけではなく、 深層学習を含む高度なAIやデータ主導の手法を組み合わせた 新たなテクノロジーの導入が必要と考えられる。 想定外の事が次々と起こる社会において、いかに安全を確保するか、 AIの役割と可能性について紹介された。
 なお、SE誌204号〜206号にも解説を執筆いただき、公開しています。

第296回  プロセス開発と保安力向上について

 保安力向上センター会長       伊藤 東 先生
                 (2022年3月4日)
 プロセス開発では「製品開発」と共に「生産性と安全性」の向上も課題とします。 既存プラントにて『異常現象は気付いたが、原因が解らず事故となった』との報告がある。 プロセス開発時には ”データ”に基づいて「危険性」を把握し、「プロセスの構成」と「操業条件」を設定していること、 また「チームワーク」の重要性にも触れられた。新技術(AI、デジタル技術等)の活用するプロセス開発についても解説された。

第295回  ロケット用推進薬の動向

 火薬学会会長            堀 恵一 先生
                 (2022年1月14日)
 低毒性液体推進薬SHP163, OMOTENASHI用固体モータ、デブリ問題など、 このところ従事されてきたプロジェクトを中心に ロケット用推進薬を取り巻く動向について解説された。

第294回  事故事例から考える安全化の課題

 岡山大学特任教授          鈴木 和彦 先生
                 (2021年11月26日)
 2011年に山口県で爆発・火災事故が発災して以来10年が経過した。 この10年の間に重大事故が引き続き起こっている。 各社各様に安全化には取り組んでいるが,リスクアセスメントの進め方, リスク低減についてリスクの定量化,安全機能・安全度水準の導入など 技術的には不十分であり,さらには安全文化の観点からもいくつかの課題が散見される。 講演では,事故事例を挙げ,安全化の課題について述べられた。

第293回  化学廃棄物のリスクのポイントと対策

 株式会社ハチオウ 部長          山之井 崇寿 先生
                 (2021年9月17日)
 廃棄物処理業界は、他業種に比べて労働災害や火災等重大事故の発生率が高い傾向にある。 その一因として、各種情報の齟齬や不足、伝達不備の多さが挙げられる。 近年、廃棄物データシート(WDS)等の情報提供の仕組みの整備が進められているが、 化学系廃棄物については種類の多さや反応の複雑さから、未だに情報に関わる事故やトラブルは多い。 本講演では「廃棄物の情報」をキーワードに、化学系廃棄物のトラブル事例と ハチオウが行っている取り組みについて紹介された。

第292回  リスクアセスメントは機能しているか

 東京工業大学 環境・社会理工学院
 イノベーション科学系・技術経営専門職学位課程
 特任教授                  中村 昌允 先生
                 (2021年7月16日)
 化学プラントで起きた重大事故は、いずれも設備改造・更新と製造条件等の変更管理に起因しており、 その際の安全性評価が十分であったとはいえない。 リスクアセスメント(RA)の課題として3点が指摘できる。
一つ目は、RAを行なう人材の重要性である。 製造現場から熟年技能者が退職し若年層主体の年齢構成に移行している。
二つ目は、設備の老朽化による設備更新・改造の時期にきているが、 設計の基本思想や条件設定の根拠が継承されていない。
三つ目は、どこまで安全を求めるかである。
 RAを実施してもリスクはゼロになるわけではなく、 どこまでのリスクを許容するかが経営者の重要な判断になる。 定修工事や点検・修理工事等、リスクレベルV、Wであっても実施しなければならない業務もある。 日本の製造業の生き残りを考えると、リスク低減のためにどこまでも経営資源を投入することはできないし、 技術的対策が難しい場合もある。 これらの課題にどのように対処していくかを事例に基づいて紹介された。

第291回  安全活動の新たなステージに対応するための新たなリスクマネジメント

 NPO法人リスク共生社会推進センター理事長
 横浜国立大学客員教授            野口 和彦 先生
                 (2021年5月14日)
 安全活動は、社会が豊かになり事業活動が高度化するにつれて、さらに重要になってきた。 しかし、安全活動を取り巻く状況は大きく変化し、安全活動も進化することを求められている。 その環境の変化の一つは、技術環境である。 IoT,AI等のデジタルネットワーク技術は、社会にも産業にも投入され、安全活動の要素にも変化をもたらしている。
二つ目は、確保すべき安全の考え方である。 従来の事故の経験に学び再発防止を中核とした安全対応の限界が明らかになってきた。 確保すべき安全も多用になり、その確保レベルも高度化してきている。
三つ目は、安全が他のマネジメント要素との関係の中で決まるというマネジメントの仕組みが より強くなってきたと言うことである。 このために、安全活動においても技術者・現場の視点だけでは対応できなくなってきている。
このような環境の変化は、リスクマネジメントに関しても大きな変革を求めてきている。 このような環境変化に対応するための新たなリスクマネジメントの考え方について紹介された。

第290回  東京大学環境安全研究センターについて

 東京大学名誉教授 総安研理事         新井 充 先生
                 (2021年3月5日)
 東京大学環境安全研究センターは、1970年代の公害問題が 世の中を騒がせていた時代に設立された研究センターであるが、 近年ではその立ち位置を、全学の環境安全管理から環境安全教育に シフトさせつつその活動を続けてきている。 環境安全研究センターが行っている環境安全講習会を中心にその活動について紹介された。

第289回  災害情報データベースによる事故・災害情報の活用

 デンカ株式会社  下平 博 先生〔講演〕
  災害情報センター 井田 敦之 先生
                 (2021年1月15日)
 災害情報センターが運用する「災害情報データベース」は、幅広い分野の事故・災害事例を対象にしており、 市販のソフトウェア上で自由にキーワード検索でき、 さらには事例毎に関連する文献を継続的に収集しているため事例の経過が把握しやすいことなどが特徴である。 本講演では本データベースで検索して得られた、化学プラントを例にした火災爆発事故例、AIとの関係性、自然災害などの収録事例・文献やその活用・応用例を紹介された。

第288回  デュポンにおける安全文化

 DSS サステナブル・ソリューションズ・ジャパン会長
 デュポン株式会社 前取締役副社長
  橋本 勝則 先生
                 (2020年11月13日)
 組織として安全文化を醸成することは、労働災害リスクの低減だけでなく、 品質・生産性・従業員のモチベーションなど他の経営上のリスクを低減させることにも貢献する。 200年以上にわたるデュポンの歴史の中で構築してきた、安全についてのグローバル共通の 価値観や考え方を形成し、安全を実現するためのアプローチについて紹介された。

第287回  プラントデジタルツイン活用  −プラント保安高度化への取組み

 千代田化工建設株式会社
 久郷 信俊 先生
                 (2020年9月25日)
 近年、日本のプラント産業において、漏洩による火災・爆発等の重大事故が増加傾向にある。 これは設備の老朽化や熟練者の定年退職の進行が原因と考えられており、 今後、設備の安全・安心操業をどの様に担保してゆくかが、 日本のプラント産業の共通の課題となっている。 この課題解決のため、 プラントデジタルツインを活用した産業保安高度化への取組みについて紹介された。

第284回〜第286回  新型コロナウイルス感染拡大のため中止

             (2020年3月、5月、7月)

第283回  産業安全の経済効果に関する検討

 産業技術総合研究所安全科学研究部門 爆発利用・産業保安研究グループ
 牧野 良次 先生
                 (2020年1月17日)
 企業が労働災害や産業事故のリスクを低減するためにはコストがかかる。 では、企業はどの程度までコストをかけるのが適当なのだろうか? 本講演の目的は製造業安全対策官民協議会での活動を紹介しつつ、 この問題に答えるための道筋として経済学による基本的な考え方を示すことである。 安全対策の費用や仮に事故が発生した際に生じる損害額を明らかにし、 「この安全対策を実施したらこの程度の損害額減少効果が見込まれる」 という行動と結果の関係性を明らかにすることができれば、 安全対策実施のモチベーションアップを図るひとつの手段になると 期待するものである。

第282回  超電導リニアの開発経緯と鉄道総研における最近の取り組み

 公益財団法人鉄道総合技術研究所 浮上式鉄道技術研究部 部長
 長嶋 賢 先生
                 (2019年11月15日)
 東海道新幹線開業の2年前、1962年に国鉄の鉄道技研(現在の鉄道総研)は次世代の高速鉄道の開発を始めました。 そして車輪・レール間の摩擦力に依存する従来の鉄道の限界を打ち破る技術として、 リニアモータ推進方式と超電導磁気浮上方式が選択されました。 その後の開発により速度500km/h 以上の高速走行を可能とする「超電導リニア」の技術が確立しました。 講演では超電導リニアの開発経緯の他に、最近鉄道総研で取り組んでいる超電導リニア関連技術の在来方式鉄道への応用研究についても 紹介された。

第281回  ガスセンシングの「これまで」と「これから」
        ―安全・安心・快適な社会のために−

 新コスモス電機株式会社 代表取締役会長
 重盛 徹志 先生
                 (2019年9月20日)
 これまでに会社が開発した家庭用から産業用までのガス警報器やガス検知器の紹介を通じて、 日本におけるガス保安の歴史を紹介された。 また、最近の行政や業界の動き、技術動向を踏まえながら、 これからのガスセンシング・ガス警報器の可能性についても言及された。 あわせて安全・安心・快適な環境や国、そして世界の実現のために 取り組まなければならないと感じていることについてもふれられた。

第280回  航空における安全向上と安全文化

 公益社団法人日本航空機操縦士協会
 井上 伸一 先生
                 (2019年7月19日)
 ライト兄弟が初飛行に成功してから116年、航空会社が事業を開始してから 100年が経った。 1944年、国際航空のあり方を議論する会議が米国・英国・カナダを中心に シカゴで開催され、 「国際民間航空条約」が締結された。 この条約は「航空機の運航に必要な原則の世界規模での統一」に主眼を 置いたもので、 19の付属書にまとめられている。 その付属書の普及と遵守の確保を進めるためにICAO(国際民間航空機関)が設立され、 第19付属書がSafety Management安全管理となっている。 ICAOのまとめた安全進化の歴史に沿いながら、 民間航空にジェット旅客機が 利用され始めてから今日までの安全向上への取組み、 ならびに1990年代半ば 以降から注目され始めた安全文化、 中でも報告する文化を中心に解説された。

第279回  化学プラントでのICTの活用

 三井化学株式会社 代表取締役 専務執行役員
 松尾 英喜 先生
                 (2019年5月24日)
 国内化学プラントでは設備の経年劣化の拡大、ベテランの減少、労働力不足等の課題を抱えている。 また IoT、AI等の情報技術の高度化は、いろいろな分野でのイノベーションを引き起こそうとしている。 化学プラントにおいても、ICT 技術を利用し課題解決につなげていかなければ日本の化学産業は生き残れなくなってしまう。 化学プラントでのICTのさまざまな活用により、安全、安定、高効率の実現とともに、 人間の能力を引き出すスマート工場への取り組み内容とその課題を紹介された。

第278回  人工知能(AI)と安全性 −標準化の観点から

 ナブテスコ株式会社 技術本部 技術顧問
   佐藤 吉信 先生
                 (2019年3月8日)
 人工知能(AI)は、学習機能すなわちソフトウェアが自ら部分改修(変化)して 進化する特徴をもつ。 自動運転車やサービスロボットなどではAIの応用が 不可欠であり、 AIの進化に関する安全性が重要な課題である。 そこで、安全なAIを実現するための設計から実装・保全までの条件、 及び AIを実装する全体システムにおけるシステム安全の条件について紹介された。 また、AIの安全性の標準化について、現在改訂作業が進捗している機能安全 規格を例として紹介された。

第277回  ヒト健康影響の定量的評価と数理モデル

 産業技術総合研究所 安全科学研究部門
  吉田 喜久雄 先生
                 (2019年1月18日)
 化学物質のライフステージ(製造、輸送、貯蔵、使用、廃棄)に存在するヒトへの潜在的ハザードには、 物理的な爆発、火災等に加えて、急性と慢性の健康影響がある。 曝露濃度の時空間的変動と物質毎に異なる影響の標的組織や濃度−反応関係のため、 影響のリスクや重大性の定量的評価には様々な数理モデルが用いられる。 これまでの評価経験に基づいて、これらの評価に有用な数理モデルを紹介された。

第276回  米石油メジャーから学んだ SH&E

 JXTGエネルギー株式会社 環境安全部
  渡辺 哲 先生
                 (平成30年11月16日)
 長く経験してきた石油精製における「安全(S)・健康(H)・環境(E)」について、 米石油メジャーでの体験を交えた視点で述べられた。 大きなポイントは、リスクベースの実践と、 その実践にはトップの強力なリーダーシップが必須であることを紹介された。

第275回  制御工学における最近の動向と人材育成の試み

 横浜国立大学大学院
  眞田 一志 先生
                 (平成30年9月21日)
 制御工学は,機械工学だけでなく,電気電子工学,通信工学, 化学工学などさまざまな分野を横断的に取り扱う学問である。 制御工学は,オートメーションに代表されるように,機械などを自動的に動かすための工学技術の一つである。 最近では車の自動運転のように,人が密接に関与する自動制御に発展し, 安全の視点からの技術開発も盛んにおこなわれている。 自動車やより大きな機械を制御する場合には,制御系の安定性,安全性は 人や機械や安全に直接かかわる重要な設計仕様である。 制御工学に関する最近の研究動向や,大学における教育,人材育成の試みについて紹介された。

第274回  社会インフラ保全のために大学ができること
   −最新技術動向から人材育成まで−

 横浜国立大学大学院工学研究院
  岡崎 慎司 先生
                 (平成30年7月20日)
 社会インフラの老朽化が深刻化しており、これに起因した重大事故の発生等が危惧されている。 しかし、今後一層厳しくなるであろう我国の経済的状況を考慮すると、この問題に十分な対応ができない事態が懸念されている。 従って、安全を十分に担保しながら維持管理・更新に要するコストを低減化することは極めて重要といえる。 エネルギー貯槽の維持・管理技術の高度化を目指し、化学センサデバイスや材料劣化解析評価技術の開発などを行っている。 これらの研究内容を紹介するとともに、 将来のインフラマネジメントに重要と思われる最新技術動向や大学が果たすべき役割について話題を提供された。

第273回  安全管理における「管理者やリーダーの基本動作」を考えてみよう

 JR東日本研究開発センター
  楠神 健 先生
                 (平成30年5月18日)
 企業経営においては、「生産性(効率)」と「安全」は重要な価値であり、 その両立がマネジメント上の大きな課題になる。 一方、この両立を目的に行われる「ヒューマンエラーが関与する事故・事象の管理の実践」 に関しては特有の難しさがあるように感じている。 本講演では、この難しさについて@事象発生時の安全管理、A平常時の安全管理、 B安全と社員の役割の3つの側面に分けて 考察し、管理者が安全管理において陥りやすいミスについて紹介された。

第272回  第2期ラービグプロジェクトの概要と保安規制

 保安力向上センター
    平田 勇夫 先生
                 (平成30年3月16日)
 住友化学は、ラービクの石油精製と石油化学の統合コンプレックスにおいて、 エタン分解炉を増強しエチレンの年間製造能力を130万トンから160万トンに引き上げ、 併せて誘導品プラントを追加した。 このプロジェクトはプロジェクト・ファイナンス(PF)によって実施された。 プロジェクトの概要、PFに基づく保安の要求事項、および現地の保安規制について概説された。

第271回  事故損害防止のための国際保険ブローカーの取組み
      装置産業を例として

 マーシュ ブローカー ジャパン株式会社
    高尾 義行 先生
                 (平成30年1月12日)
 保険業界は、リスクの移転とともにリスク軽減支援の役割があります。 国際保険ブローカー マーシュのリスクエンジニアは、世界中のお客様の工場を訪問し、 リスクの評価とリスク軽減の提言を行っている。 その蓄積した経験からの取組み例について紹介された。

第270回  化学プロセス産業における安全文化のモデル化と醸成

 慶応義塾大学 宇野 研一 先生
                 (平成29年11月17日)
 化学プロセス産業のプロセス安全は、技術依存の時代から管理システム構築の時代を経て、 現在ではシステムを支える安全文化の醸成を重視するように なってきている。  しかしながら、安全文化の診断に関する研究は進んでいるが、 診断結果で判明した弱点に対する対策検討に資する研究は少ない。 そこで、安全文化に関する研究を振り返ると共に、 そのモデル化と醸成に関す る研究について紹介する。

第269回  可燃性化学物質の安全管理

 横浜国立大学 大学院環境情報研究院 教授
    大谷 英雄 先生
                 (平成29年9月22日)
 危険物施設では、いわゆる消防法危険物が大量に貯蔵・取扱いされている。 なぜ危険物が爆発する危険性が高いといわれるのか、燃焼学の見地 から解説する。 可燃性ガスの燃焼の仕方、予混合燃焼と拡散燃焼の違いにつ いて解説し、 予混合燃焼し易い物が 爆発災害を起こし易く、危険物と呼ばれ ることの理解を深める。

第268回  近赤外光を用いた液体爆発物検査

 大阪大学名誉教授
      糸ア 秀夫 先生
                 (平成29年7月21日)
 液体爆発物がテロに用いられたため、液体物の航空機への持ち込みが規制され、搭乗者の不便を強いている。 そこで、液体爆発物を検知する技術開発が進められ、いろいろな検査方式が検討されている。 講演では近赤外光スペクトルを用いた液体検査について紹介された。 多様な液体や爆発物を含む危険物のスペクトルと、検査対象液体のスペクトルを照合することにより、 爆発物や危険物液体を検知できる装置において、欧州のECAC規格にも適合することができたことを紹介された。

第267回  化学プロセスの非定常リスクアセスメント
      −HAZOPの活用−

 システム安全研究所
      高木 伸夫 先生
                 (平成29年5月12日)
 近年に発生した化学産業における重大事故は非定常操作時や作業時に発生したとされている。 化学プロセスの事故予防にあたっては、定常運転時に限らず非定常時を対象としてリスクアセスメントを実施し、 事故予防策を講じることが必要である。 欧米における重大事故とリスクベースアプローチアセスメントの歴史を概観し、 化学プロセスの危険源の特定に活用されている定常HAZOPならびに非定常HAZOP手法を説明された。

第266回  有害化学物質の即時検出

 株式会社日立製作所 研究開発グループ
  高田 安章  先生
                 (平成29年3月17日)
 安全・安心な社会の実現に向け、身近に存在していては困る化学物質、例えば爆発物、 違法薬物、環境汚染物質などの検出は重要である。 20年以上にわたり、 質量分析法を用いた有害化学物質の即時検出について検討してきた。 その成果は、爆発物探知装置や漏洩監視装置などに活用されている。 通常は化学実験室に設置されている質量分析計をフィールドに持ち出すと何ができるのか、 これまでの事例について紹介された。

第265回  我が国と世界の化学物質管理規制
         および情報収集について

 独立行政法人製品評価技術基盤機構
  吉田 しのぶ  先生
                 (平成29年1月13日)
 化学物質管理のベースとなる国内の規制について、その歴史的背景から解説すると共に、 諸外国の規制と比較しつつ、今後の化学物質規制の方向性について説明された。 また、規制情報の収集方法の1つとして、独立行政法人製品評価技術基盤機構が提供している 「化学物質総合情報提供システム(NITE−CHRIP)」と「日アセアン 化学質管理データベース(AJCSD)」について紹介された。

第264回  改正労働安全衛生法に対応した化学物質の
         危険性リスクアセスメント支援について

 みずほ情報総研株式会社
  貴志 孝洋 先生
                 (平成28年11月18日)
 改正労働安全衛生法の改正に伴い、 平成28年6月1日から一定の有害性を有する化学物質を製造あるいは取扱うすべての事業者に対し、 リスクアセスメントを実施することが義務付けられた。 化学物質の危険性に着目したリスクアセスメントについて、 安衛法の改正の概要と併せてみずほ情報総研と厚生労働省で作成した スクリーニング支援ツールの概要についてと、 その他のリスクアセスメント支援ツールについて紹介された。

第263回  化学産業の安全問題点と保安力評価

 保安力向上センター長
  若倉 正英 先生
                 (平成28年9月16日)
  最近プロセス産業では設備の高経齢化に伴う、事故の潜在危険性の増大や、 欧米の重大事故の背景要因となった経営層の責任などに関する議論が進んでいる。 これに関する話題提供と保安力評価システムの改訂、保安力評価の実施状況などについて紹介された。

第262回  「自主的な安全活動」のメリットについて

デンカ鞄チ任嘱託
  伊藤 東 先生
                 (平成28年7月1日)
 長年、化学プロセスの開発に関与してきた経験に基付いて、 “技術開発〜プラント建設〜生産活動〜流通・廃棄”における安全確保への“経済的側面”について述べられた。 各段階にて安全の基本となる「物質安全、プロセス安全、システム安全」を考慮しての“自主的な安全確保”への具体例を振り返りり、 「安全活動=規制対応+自主的活動」において、自主的な安全レベル向上による“資源投入量と期待メリット”の関係を説明された。

第261回  圧力容器の損傷モード

元千代田化工建設株式会社
  能登 高志 先生
                 (平成28年5月13日)
 熱交換器、反応器、塔、槽などの圧力容器は石油精製、石油化学、ガスプラントなどの主要構成要素の一つであるが、 これらに生じる損傷が原因となって災害となることが稀に起こる。 これら圧力容器の損傷の形態は必ずしも一つではなく、幾つかの形態(モード)に分類することができる。 また、損傷の防止策もそれぞれの損傷モードに応じたものでなければならない。 圧力容器の使用材料、運転環境から起こりうる損傷モードを予測し、その対策を考える方法を説明された。

第260回  テロについて

総安研
  中村 順
                 (平成28年3月18日)
 2015年に入ってからもチェニジア、バンコク、中国自治区、アンカラ、 シナイ半島、パリ、イスタンブール、ジャカルタとテロの発生が頻発している。 各地の過激派テロリストやそれに感化された者などによるとされているが、 報道されるテロの方法や被害状況からどのような違いがあるか解説した。
 さらに今後東京オリンピックや国内での大規模イベントなどについてテロ事件が起こることが 危惧されているが、どのような脅威があるかや、対策としてどのようなことができるかについて 紹介した。

第259回  安全管理活動におけるヒューマンファクターズ
    〜ヒューマンエラー低減に向けた組織マネジメント〜

慶應義塾大学
  岡田 有策 先生
                 (平成28年1月22日)
 安全管理上のトラブルを引き起こすヒューマンエラーを防止するための仕組み、 すなわちヒューマンエラー・マネジメント・システムを確立することは、 現在の企業・組織における重要な課題の一つである。
 そのためには、組織におけるヒューマンエラーに関わる安全管理活動に 関する理解・意識の状態を把握し、その状態の改善を図ることで、組織に おける安全に対する風土・文化を醸成させることが、様々な安全管理活動 の実質を高めることになる。企業で実践している安全管理に関わる組織 マネジメント活動について紹介された。

第258回  プロセス安全管理の実践的仕組

東京工業大学名誉教授
  仲 勇治 先生
                 (平成27年11月20日)
論理的な整合性を持つプロセス安全管理(PSM)を構築する考え方、 そして、実行に移して定着させるための考え方を説明された。 さらに、そのPSMをプラントライフサイクルに亘って実行していくための 支援環境について説明された。 この考え方は、新設プラントだけでなく、既設プラントにも適用できる。 世界的な先進企業は、同様の考え方を持っており、支援環境を構築する ために様々なエンジニアリング分野で標準化作業を進めていることを紹介された。

第257回  LCB式組織の健康診断法とは

NPO法人リスクセンス研究会副理事長兼事務局長
LCB研究会代表
  中田 邦臣 先生
                 (平成27年9月25日)
オペレーションとコンプライアンスを対象として開発された組織の健全性診断システムについて 開発の経緯と組織を健全に運営し、リスクを最小にしていくために必要な知識・判断力・業務遂行能力を知るリスクセンス度について解説をされた。 検定として、組織と個人のリスクセンス度の測定及び受験結果の例や、 それによる事故の未然防止の可能性について具体例をあげて紹介された。

第256回  何故、事故は起きてしまうのか
安全の原点に立ち返り考える

横浜国立大学 大学院環境情報研究院
   野口 和彦 先生
                 (平成27年7月10日)
我々は、何時の頃からか、事故が起きることを不思議だと思わないようになってしまった。 今、安全の原点に返って、システムの視点で、マネジメントの視点で、 そして、人間の視点で、何故事故が起きるのかということを考えてみたい。 そして、我々が目指している安全とは、組織とは、社会とは、 どのようなものかや、その課題と対応の方策ついて紹介された。

第255回  化学産業におけるプロセス安全への取り組みと安全文化

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
 宇野 研一 先生
                 (平成27年5月15日)
化学産業の事故防止のため各国でプロセス安全の向上への取り組みが続けられている。 プロセス安全管理システムを中心とした米国化学産業界の取り組みを紹介し、 我が国の「保安力」の取り組みへの反映を紹介された。 さらに、プロセス安全の取り組みにおいて最近重要視されてきている 安全文化に関する研究動向とシステム思考を導入した取り組みについて紹介された。

第254回  老技術者の安全に関する述懐

元三菱マテリアル株式会社
 小嶋 令史 先生
                 (平成27年3月20日)
   SE179号 平成27(2015)年 6月1日発行に掲載されています

第253回  鉄道における脱線事故対策

(公財)鉄道総合技術研究所 軌道技術研究部
 古川 敦 先生
                 (平成27年1月9日)
   SE178号 平成27(2015)年 3月1日発行に掲載されています

第252回  JR東日本研修センターにおける教育

JR東日本パーソネルサービス JR東日本総合研修センター
 佐藤 寿 先生
                 (平成26年11月20日)
JR東日本は、「鉄道人魂」を持った社員の育成に力を入れている。
鉄道人魂を持った社員とは、自分自身の命、部下や同僚の命、お客さまの命を 守るために何をしなくてはならないのかを自分自身で考え、自ら行動できる 社員である。
鉄道人魂を持った社員の育成には、心に残る安全教育が有効であり、 その心に残る安全教育について紹介された。

第251回  道路トンネルの防災

東京都立大学名誉教授
 今田 徹 先生
                 (平成26年9月19日)
   SE178号 平成27(2015)年 3月1日発行に掲載されています

第250回  航空の安全について

成田国際空港
 宇野 茂 先生
                 (平成26年7月18日)
空港でのテロ対策は保安=セキュリティという考え方ですが、 このセキュリティ対策の国際的なルールを策定している、国連の専門機関である 国際民間航空機関(ICAO)の求める基準と空港での保安対策について紹介された。

第249回 主要各国のCBRNテロ対策の概要

帝国繊維褐レ問 元陸上自衛隊化学学校長
 岩城 征昭 先生
                 (平成26年5月23日)
不安定国家や各種テロ組織によって惹き起こされるCBRN(化学、生物、放射性物質、核) 脅威が高まってきている。 脅威の対象は、社会活動、市民活動の中に移ってきており、軍隊のみの対応から警察、 消防などのファーストレスポンダーとそれに対する軍の民生支援との協同対処が重要となってきている。 こうしたCBRNテロの事例や予想されるシナリオ、各国での対処方策、対処機材などについて解説された。

第248回 ヒューマンファクターと労働安全エラー

(公財)労働科学研究所 所長
      酒井 一博 先生
                 (平成26年3月11日)
火災爆発をはじめ、死亡を含む労災事故が後を絶たない。 事故、災害の直接原因の究明は必ず行われるが、間接要因、 さらには背後要因まで切り込み、具体的な対策が立てられることは少ない。 非正規雇用とか元方と下請との関係などの働く仕組みを取り上げながら、 少子高齢社会における安全をつくる仕組みと安全文化について紹介された。

第247回 石油化学工業協会における産業保安の向上

石油化学工業協会 技術部長
       岩間 啓一 先生
                 (平成26年1月24日)
   SE177号 平成26(2014)年 12月1日発行に掲載されています

第246回 南海トラフ巨大地震と危険物施設の防災

横浜国立大学客員教授
       座間 信作 先生
                 (平成25年11月27日)
   SE176号 平成26(2014)年 9月1日発行に掲載されています

第245回 花火大会の安全管理について

公益社団法人日本煙火協会
       河野 晴行 先生
                 (平成25年9月20日)
   SE175号 平成26(2014)年 6月1日発行に掲載されています

第244回 産業・医療ガス事故例

元岩谷産業
       小川 幸士 先生
                 (平成25年7月19日)
 産業ガス(市販酸素や窒素等)及び医療用ガス(吸入酸素等)について、 事故統計分析及び事故事例等を紹介された。
 事故事例では、放置容器の破裂、超低温容器や貯槽の爆発事故および近年増加 している超低温貯槽の熱疲労による漏えいなどについてであった。LPガス充填 所事故についても解説された。医療ガス関係では、容器の取付間違い事故や過剰酸素中における異 常燃焼事故などであった。地震と高圧ガス事故の関係についても紹介された。

第243回 水素安全に関する最近の動向から

東邦大学理学部生命圏環境科学科
       佐藤 研二 教授
                 (平成25年5月24日)
   SE176号 平成26(2014)年 9月1日発行に掲載されています

第242回 米国における離隔距離の決め方について

公益財団法人総合安全工学研究所
       事業部長 中村 順 先生
                 (平成25年3月15日)
 高圧ガス、危険物貯蔵庫、火薬庫などについては、設備間の離隔距離や、一般の道路、学校、公共施設などとの保安距離が定められている。米国においては、水素ステーションの離隔距離や爆発物からの避難距離、火薬類、危険物の保安距離など最近見直しが行われ、結果が公表されている。そのもとになったデータ、根拠などについて説明された。

第241回 リスクベースメンテナンスの意義と導入にあたっての課題

東京大学大学院 工学系研究科機械工学専攻
       教授 酒井 信介 先生
                 (平成25年1月24日)
   SE172号 平成25(2013)年 9月1日発行に掲載されています

第240回 今後の安全帯関連技術の発展の方向

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
       研究企画調整部 深谷 潔 先生
                 (平成24年11月20日)
 今年の3月に安全帯のJIS規格が改定され、厚生労働省の安全帯の構造規格(2002)と整合するようになった。国内的には、規格の改訂も一段落とも思えるが、構造規格の元となった(独)労働安全衛生総合研究所の安全帯構造指針(1998)の公布から今までに、国際的には、安全帯のISO規格(2000〜2004)の制定や、ANSI規格の改訂(2007)があった。これらの海外の状況をふまえ、今後の日本の安全帯関連技術の発展の方向を探る。

第239回 直下型地震と化学プラント

東京大学大学院 環境安全研究センター 教授
         新井 充 先生
                 (平成24年9月21日)
   SE170号 平成25(2013)年 3月1日発行に掲載されています

第238回 国立研究機関における安全管理
     −産総研を例にして−

独立行政法人 産業技術総合研究所 環境安全管理部
         飯田 光明 先生
                 (平成24年7月20日)
 2001年4月に工業技術院の全国15研究所を独立行政法人「産業技術総合研究所」として統合したのに伴い、安全衛生管理、環境対策、防災対策を一元的に監督・指導・支援する環境安全管理部が作られた。その組織と活動について報告された。安全衛生管理体制の整備・確立、個別専門事項の倫理・安全管理、環境影響低減化対策、防災・地震対策などの業務を行ってきている。具体的な話題として、薬品、高圧ガスのデータベース管理について全国的に行っている事項について紹介があった。
 次に、産総研内における事故について説明があり、事故・ヒヤリハット情報の周知、教育ビデオの作成、安全ハンドブックの作成など安全意識向上と事故数低減への取り組みが紹介された。
 最後に、東日本大震災ではつくばの産総研でも建物、機材、ライフラインなどに大きな被害が生じたことと、その復旧についての紹介があった。

第237回 どこまで安全を求めるか?

東京農工大学 大学院工学府 産業技術専攻
    教授   中村 昌允 先生
                 (平成24年5月22日)
   SE171号 平成25(2013)年 6月1日発行に掲載されています

第236回 安全性向上に反映すべき東日本大震災の教訓

株式会社三菱総合研究所 リサーチフェロー
      野口 和彦 先生
                 (平成24年3月13日)
   SE169号 平成24(2012)年 12月1日発行に掲載されています

第235回 航空保安について

財団法人 空港保安事業センター 教育事業部教育課 課長補佐
兼 ICAO(国際民間航空機関) 航空保安国際監査官
      金澤 三津恵 先生
                 (平成24年1月17日)
   SE168号 平成24(2012)年 9月1日発行に掲載されています

第234回 リスクが極めて高いステムに対する安全設計思想について
      〜原子力発電に対する一考察〜

明治大学理工学部
    教授  向殿 政男 先生
                 (平成23年11月22日)
   SE170号 平成25(2013)年 3月1日発行に掲載されています

第233回 リスク管理のためのヒューマンファクター

早稲田大学理工学術院
    教授   小松原 明哲 先生
                 (平成23年9月20日)
   SE168号 平成24(2012)年 9月1日発行に掲載されています

第232回 失敗から私達が学ばねばならないもの

元三井化学株式会社  藤村 直孝 先生
                 (平成23年7月19日)
 2005年、三井化学の労災が増加した際、安全担当の立場で真相を分析した結果を社内誌に連載。自社の悲惨な事故事例(失敗)を如実に伝えるものであり、大きな反響を得た。その内容を中心に現場の安全向上を目的に、ヒューマンファクターに関わる話を紹介された。

第231回 金属疲労と結晶学的破面組織

横浜国立大学大学院 工学部研究院
    教授   梅澤 修 先生
                 (平成23年5月20日)
材料の破断面には破壊の過程が記録されており、これを調査することによって破壊機構あるいは破壊原因に関する情報を得ることができます。そのためには、き裂発生部から最終破壊近傍まで、破壊過程のそれぞれについて低倍率から高倍率までの観察を行うことが基本です。  結晶組織を反映した金属疲労破面を対象に代表的な破壊形態を紹介し、その特徴と走査型電子顕微鏡による破面の見方についてわかりやすく解説をされた。

第229回 高経年化設備の管理の現状と課題
      -CUIマネージメントシステムの構築に向けて-

工学院大学 常務理事
    工学部 環境エネルギー化学科 教授   木村 雄二 先生
                 (平成23年1月18日)
近年、設備の高経年化にともなう劣化・腐食を原因とする高圧ガス事故が数多く発生している。我が国のコンビナート施設の多くは、既に築後30年以上を経過し、またその半数近くが稼働後40年を超えていることを考慮すれば、このような設備の老朽化や経年劣化に起因する災害にどのように対応していくかが、高圧ガス保安においても今後の重要な課題となりつつある。ここでは、特に外観検査が容易でない被膜配管における腐食(CUI)に焦点を当て、それらについて概説していただいた。

第228回 スクラップ金属の火災事例とその対策

消防庁 消防大学校 消防研究センター
            火災災害調査部長   古積 博 先生
                 (平成22年11月16日)
 中国の発展に伴い、ここ数年、スクラップ金属が大量に輸出されるようになった。その結果、貯蔵、輸送中の火災が増えている。特に、船積み後に火災となった場合、消火は一層難しくなる。そこで、国立環境研、海上保安庁、産総研等と原因究明、予防対策、消火方法等を含めた共同研究が行われているので、その研究成果を紹介する。原因としては、スクラップ金属中に混入するリチウム電池類による場合や金属同士の衝撃等による場合もある。

第227回 リスクマネジメント実践のために

住友生命保険相互会社 名合 正二 先生
(平成22年9月21日)
企業は、災害、経営上の問題、社会的問題等の様々な要因によりしばしばリスクにさらされるが、リスクに強い企業になるためには、まず、リスクマネジメントや危機管理の意味を知ること、リスクマネジメントの実践において押さえておくべきことを把握しておくことが重要である。本講演では、リスクマネジメントの歴史的発展の経緯やリスクやハザードの定義付けとともに、リスクの洗い出し、リスクの分析・評価、リスクの処理方法。処理の実施と結果のトレースにおけるポイントについて解説がなされ、リスクの低減、回避等の対策について解説された。実例における失敗例、成功例を参考として説明されたので、大変わかりやすく、非常に参考となる講演であった。

第226回 化学物質のリスク評価

(社)日本化学工業協会 花井 荘輔 先生
(平成22年7月20日)
リスク評価に基づく化学物質の総合安全管理の重要性が言われて久しいが、1992年のアジェンダ21以降の動向について紹介された。特に、化学物質のリスク評価の考え方、化学物質のリスク、ハザード管理からリスク管理への流れ、リスクの定性的評価と定量的評価の方法などについて解説がなされたほか、化学物質管理に関して国内における化審法の改正、EUでのREACH規制、US EPAのTSCAの見直しなど国内外の動向が紹介され、化学物質の安全管理にあたっての概要について解説された。

第225回 気体燃料の爆発・爆轟の反応解析とシミュレーション

東京大学工学系研究科 総合研究機構 教授 越 光男 先生
(平成22年5月21日)
水素や炭化水素の燃焼反応は、複数の素反応から構成される。複雑な炭化水素では、考慮すべき素反応の数は極めて多くなるが、爆発限界については、化学反応論に基づく予測が可能となってきた。爆発圧力・火炎伝播速度については、大規模空間での直接シミュレーションはまだ困難であるが、経験的な方法との組み合わせにより検討されるようになってきた。爆轟のシミュレーションについては、三次元構造等の現象に関する解析は進んでいるが、爆轟限界の予測に関する検討はまだ不十分である。

第224回 リスク曲線による災害リスクアセスメント

横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター特任教授 関根 和喜 先生
(平成22年3月19日)
高度技術社会における安全と安心とは何か、との問いかけに始まり、新しい学問領域「安心・安全の科学」を定義した。「安心・安全」と科学との橋渡しとなるキーワードがリスクであり、定量的指標であるリスクを用いた意志決定の手法がリスクマネジメントである。リスクの具体的図式表現として、超過累積頻度と災害規模を両対数プロットしたリスク曲線がある。この曲線の勾配で安全性指数(Safety Index)が定義される。大規模災害に備えるには、この安全性指数が高くなるような施策が必要である。逆に安全性確保のための施策の妥当性は、この指数により検証できる。

第223回 日本造船業
           −労働災害の現状と課題 そして進むべき方策

ユニバーサル造船株式会社 堺 和雄 先生
(平成22年1月22日)
世界における日本造船業の歴史的役割、企業再編の歩み、現状の外観から始まり、次いで労働災害の現状と課題、取組が述べられた。造船業における労働環境の厳しさ、それを反映した災害の発生状況に対する労働安全衛生活動の状況が率直に紹介された。DVD作製、疑似体験、リスクアセスメントなど多様な実例が参加者の関心を強く引きつける講演会となった。

第222回 リスクに基づく材料の選択と活用

(社)未踏科学技術協会特別研究員 八木 晃一 先生
(平成21年11月20日)

材料は、機械や構造物を構成する基である。機械や構造物が性能を発揮し、またそれを安全に使うためには、材料を知って、最適な材料を選択し、適切に活用することが重要である。われわれは多くの事故を経験し、事故に対処し、安全性を向上させるために設計規格・基準を整備してきた。高温プラント設計に必要なクリープデータについては、米国、欧州では1930年代頃から、わが国でも産業界の要請を受けて1966年から金属材料技術研究所(現物質・材料研究機構)で開始された。工業材料のクリープ強度は規格材であっても、微量な化学成分の違いや熱処理条件などの影響を受け、大きなばらつきを示す。このため、材料を適切に使い、プラントの安全を確保するためにはリスクの考え方を取り入れることが必要である(八木)。

第221回 音シグナルと難聴

(財)小林理学研究所 山下 充康 先生
(平成21年9月18日)
「音」は生活空間に当たり前に存在する物理刺激要素。言語や音楽、警報など、音を利用している一方で、これが敵に回ると騒音として嫌われる存在になる。地方自治体に寄せられる環境苦情のトップが騒音である。聴覚は加齢とともに劣化するだけでなく、ボケのきっかけとなる。司馬江漢作の「耳鏡」、江戸時代の法螺貝補聴器、ベートーベンの補聴器など補聴器の歴史や、音にまつわる豊富な事例が音の専門家によってユーモアたっぷりに語られ、改めて「音とは?」と考えさせられる機会となった。

第220回 JISから見た医療機器の安全性

神奈川県立保健福祉大学教授 小野 哲章 先生
(平成21年7月10日)
近年、医療機器が発達し、検査、治療の各種の用途に最新の電気機器が多く使われている。また、安全に関する一般的要求事項としてのJIS規格も制定されている。しかし、電撃の危険に対する認識などについて専門的な電気の基礎知識を必要とする。現在、医療従事者は医療機器の専門家として位置づけられているが、医療従事者はあくまでも医療の専門家であって、必ずしも医療機器の専門家というわけではない。本講演では、いくつかの電気の基礎的特性の紹介とともに、保守管理や改善策の検討などもできる医療機器安全管理責任者として臨床工学技士を活用することの重要性について解説された。

第219回 環境負担を削減する触媒プロセス

岐阜大学名誉教授 杉 義弘先生
(平成21年5月22日)

第218回 「現代医療最前線−川崎病(小児心臓病)の突然死を防ぐために−」

東京逓信病院 小児科部長 鈴木 淳子先生
(平成21年3月27日)

第217回 「化学プロセスのリスク評価」

(社)産業安全技術協会 顧問 森崎 繁 先生
(平成21年1月16日)

第216回 「高エネルギー物質(火薬類)を利用した緑化技術の推進」

産業技術総合研究所 研究顧問 藤原 修三 先生
(平成20年11月14日)

第215回 「反応プロセスのリスク評価」

横浜国立大学大学院教授 三宅 淳巳 先生
(平成20年9月12日)

第214回 「なぜ今ヒューマンファクターか?」

−エラーを防ぐ手立てはあるか?−
日本ヒューマンファクター研究所 危機管理研究室長 前田 荘六 先生
(平成20年7月11日)

第213回 「現代社会における安全確保の課題について」

−食品不祥事からあたご問題まで最近の事故・不祥事の要因を考える−
株式会社 三菱総合研究所 研究理事 野口 和彦 先生
(平成20年5月16日)

第212回 「『もんじゅ』ナトリウム漏えい事故の教訓」

日本原子力研究開発機構 安全研究センター
高経年化評価保全技術研究グループ グループリーダ 榊原 安英 先生
(平成20年3月19日)

第211回 「最近の爆発物テロとその対策について」

科学警察研究所 爆発研究室長 中村 順 先生
(平成20年1月18日)

第210回 「水素爆発威力に関する野外実験」

産業技術総合研究所 爆発衝撃研究グループ長 中山 良男 先生
(平成19年11月9日)

第209回 「産業安全の向上に向けて − 安全工学の役割と展開」

東京大学名誉教授・(財)総合安全工学研究所常務理事 田村 昌三 先生
(平成19年9月14日)

第208回 「失敗知識データベースに学ぶ化学事故の本質と対策」

オフィスK 代表 小林 光夫 先生
(平成19年7月20日)

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